Dwarf Standing on the Shoulders of Giants

If I have seen further it is only by standing on the shoulders of giants. by Issac Newton

2010年1月9日

あけましておめでたい自分

昨年末から「古典力学」の問題を考えているが、元旦に起きて早々、計算をしてみる。Hamiltonian H が保存する周期運動をする古典系において(ただし正準運動量 p は速度 v 、質量 m とすると、単純に p = mv の系)、その軌道をエネルギー E で指定する。この時周期を T とすると、
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\frac{dT}{dE}&=\frac{d}{dE}\oint\frac{dx}{\dot{x}(x;E)}\\  &=\oint dx\,\left(\frac{\pd}{\pd E}\right)_x\frac{1}{\dot{x}(x;E)}\\  &=-\oint\frac{dx}{m\dot{x}^2}\frac{\pd p(x;E)}{\pd E}\\  &=-\oint\frac{dx}{m\dot{x}^2}\frac{1}{\frac{\pd H(x,p)}{\pd p}}\\  &=-\oint\frac{dx}{m\dot{x}^2}\frac{1}{\dot{x}}\\  &=-\oint\frac{dt}{m\dot{x}^2}となる。

定理 以上の条件を満たす系において、周期はエネルギーの狭義単調減少関数である

おお、そうかそうか、新年早々定理が一つ示せて大変めでたい。

って、んなわけあるかっ! と一人ノリツッコミをしてしまったのは、めでたい気分に浸って3分後。

反例 一次元調和振動子は以上の条件を満たす系でありながら、周期はエネルギーに依存しない。

とはいえ、一目見ただけでは導出過程の欠陥は見つからない。まあ、それでもある程度当てはついて、こういう類の偏微分が出てくる問題では、どの変数が独立変数で、どの変数を固定して偏微分するかというところを勘違いしてドツボにはまるケースがほとんど。しかも今回の場合、積分のパラメタ微分ということで、経路も変わっている。その辺、どこを叩いて何が出てくるのかを慎重に洗い出さねばならない。

……とか試行錯誤して正月三ヶ日を費やしてしまった(別にこれだけやってたわけではなく、元々正月だなんだでバタバタしていてそんなに研究に時間を使っていないというのもある)が、どうやら微分絡みのゴタゴタは正しそう。「何でじゃーー」と一通りわめき散らかした後、ふと気づく。あれ、この場合パラメタ微分と積分って交換できたっけ?

物理やってる上でそんなに致命的ではないと思うが、自分はかなり数学音痴で、1年生の微積分学は厳密性を避けて通るコースを履修していたくらい。学年が上がって Lebesgue 積分も結局勉強するくらいには数学と付き合うようになったのだが、基本的にこの辺の微妙な話は苦手(消化の機構知らなくたってごちそうは食べたいし)。

しかしまあ、こういう問題にぶち当たったら好き嫌いも言っていられない。そういうわけで、帰省中なので微積分学の本も手元に持ってきておらず、東大の牛腸さんのノートなんかを参考にしながら考えてみる。平均値の定理を使うというアイデアをこのノートから拝借して、
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&\left\lvt\frac{d}{da}\int dx\,f(x;a)-\int dx\,\frac{\pd}{\pd a}f(x;a)\right\rvt\\  =&\left\lvt\lim_{h\to0}\int dx\,\frac{f(x;a+h)-f(x;a)}{h}-\int dx\,\frac{\pd}{\pd a}f(x;a)\right\rvt\\  =&\left\lvt\lim_{h\to0}\int dx\,\left[\frac{\pd}{\pd a}f(x;\th_x)-\frac{\pd}{\pd a}f(x;a)\right]\right\rvt\ (\th_x\in(0,h))\\  \le&\lim_{h\to0}h\int dx\,\left\lvt\frac{\pd^2}{\pd a^2}f(x;\eta_x)\right\rvt\ (\eta_x\in(0,\th_x))ということは、2階微分が可積分関数で抑えられれば、差がちゃんと0に収束して、微分と積分が交換可能ということか。

今考えている古典力学では、被積分関数は速度の逆数だが、これは積分の端点で発散する。ということは、速度の逆数自身は辛うじて積分が収束しても、その2階微分どころかよくよく考えれば1階微分ですらも積分が収束しないと思われる。積分と微分を入れ替えた先がそもそも存在しないのだから、交換云々と抜かせるはずがない。

そういうわけで、新春早々大変おめでたい失態をしていたわけですが、今年もよろしくお願いします。

余談だが、無限が出てくると、ナイーブに議論していてはそれこそ好き放題イカサマができてしまうわけで( ∞+1=∞ を移項して 0=1 のような)、その辺の議論が厳密にできるように理論を整備してくれた数学者はすごいと、改めて感じた。

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2009年12月16日

困ったときは離散化

今の師匠が物理数学の講義を担当していたとき、いつも言っていたのが「困ったときは離散化」。連続変数は微積が使えるので計算は楽だが、概念がよく分からなくなる。そういうときは差分化して有限個の変数で考えて、極限を取ればいい(数学屋には怒られそうだけど)。今現在、経路積分を考えているが、四六時中困りっぱなしだ。

ちなみに、先の記事で、 「Gauss 積分の一次の項が消えなくて困った」と書いていたが、目下のところ問題にしている一次の項は指数の中の部分積分で端点のみの寄与に書き換えることができて、これは Gauss 積分に寄与しないと結論づけた。都合の悪い項なので、気を抜かずきちんと差分化して理解した。

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Gauss 積分

多次元 Gauss 積分
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I=\int_{-\ift}^\ift dx_1\, \dotsi \int_{-\ift}^\ift dx_N\, \exp( -\tp\bm{x}A\bm{x} + 2\tp\bm{c}\bm{x} )を考えてみる。ここで A は対称正定値。

一次元なら簡単にできるから、積分変数の分離を試みる。
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A=\tp ODOとおく。ここで O は直交、 D は対角行列。
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\bm{y}=O\bm{x},\ \bm{d}=O\bm{c}と基底を変換すると、
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I&= \int_{-\ift}^\ift dy_1\, \dotsi \int_{-\ift}^\ift dy_N\, \exp( -\tp\bm{y}D\bm{y} + 2\tp\bm{d}\bm{y} ) \\  &= \prod_{i=1}^N \left[\int_{-\ift}^\ift dy_i \exp(-D_{ii}{y_i}^2+2d_iy_i)\right]と積分変数が分離できた。

一変数に帰着できたので、
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\int_{-\ift}^\ift dx\,\exp(-ax^2+2bx)=\sqrt{\frac{\pi}{a}}\exp\frac{b^2}{a}を用いれば、
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I&= \prod_{i=1}^N \sqrt{\frac{\pi}{D_{ii}}}\exp\frac{{d_i}^2}{D_{ii}} \\  &= \sqrt{\frac{\pi^N}{\det A}}\exp\tp\bm{c}A^{-1}\bm{c}となる。

うーん、ということは経路積分
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\int\mathcal{D}x\,\exp\left\{-\int_0^\tau dt\,[-x(t)Ax(t)+2c(t)x(t)]\right\}( A は微分演算子)にも内積の項が指数の肩に乗った因子がつくのか……。しかも A の逆演算子とか、計算できるわけがなさそう。自分の都合の悪い因子は無意識のうちに抹消してしまう癖があって、この因子も「どうせ指数の中身が一次の部分は効かないだろう」とか何の根拠もなく思い込んで抜かしていた。面倒なことになったなあ。

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2009年12月15日

自己無撞着

self-consistent 方程式を立てようと思っているが、どこかで論理的なエラーが紛れ込んでいるようで、 x = f(x) の形にしたいところが x = x のような自明な方程式しか出てこない。まあ、ここ最近研究が詰まっているポイントは、慣れた人から見れば極めて馬鹿げたところなのだろうけれど、少しのことにも先達はあらまほしく覚ゆる今日この頃。

しばらく前に、経路積分の実行方法に窮して詰まっていたら、「フォーマルなところで詰まってるようじゃダメだね」とか言われた。実におっしゃる通りであって、そういうところで詰まっていると、何より自分が一番つまらない。それに比べれば、今詰まってるところはまだマシか。

どうでもいいけど、 self-consistent の訳語が「自己無撞着」なのはちょっと気持ち悪い。「無撞着」といった、二重否定のニュアンスが入るあたりが。田崎さんが書いている「自己整合」というのは、ベストだとは思わないが少なくとも自己無撞着よりは語感はよい。

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二階非線型常微分方程式

常微分方程式は、線型なら微分作用素の「因数分解」で一発で解けるのだが、非線型になると途端に難しくなる(まあそれは、何も微分方程式に限った話では当然ないけど)。それでも一階なら、変数分離法だの定数変化法だの、変わったやつで言えば Bernoulli 型とか Riccati 型とか(まあ実際に研究でこんなのにお目にかかるのは、ほとんどがこんなのが出てくるようにわざわざポテンシャルの形を定めたとか、そんなところだろうけど)、まあ色々解き方はある。

ところが、物理では二階のものも結構あるわけで(三階以上は滅多にお目にかからない……偏微分方程式でもよければ、弾性理論で重調和方程式なんて出てきたけど)、こっちはそういう一般的な手法が通用するタイプがほとんどない。あれば、 Hermite 多項式だの Laguerre 陪多項式だの Bessel 関数だの、「ああ、この固有値問題の特殊関数って何だったっけ?」とか悩む必要なんてない。

しかし、一応一階常微分方程式に帰着できるものはあることはある。
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\ddot{x}=f(\dot{x},t)なんて自明な例は置いておいて、そこそこ実用的なのが
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\ddot{x}=f(x,\dot{x})。これは
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v:=\dot{x},\ddot{x}=\dot{v}=\frac{dv}{dx}\frac{dx}{dt}=v'vとでも置換すれば、
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\frac{1}{2}\frac{d}{dx}(v^2)=f(x,v)となる。

多分、中でも特に有用なのは
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\ddot{x}=f(x)で、これはそのまま積分して
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v=\sqrt{\int dx\,f(x)}となり、これはそのまま変数分離形だから、
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\int dx\left[\int dx\,f(x)\right]^{-\frac{1}{2}}=tとなって、運動方程式が完璧に解ける。

とかいう事実を思い出して、
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\ddot{x}=f(x)の形の微分方程式をホワイトボードの前で計算してると師匠に「エネルギーでしょ」とか突っ込まれる。そりゃそうだ、力が位置にしか依存しないのだから。突っ込まれるまで気づかなかった自分がアホ過ぎる。笑い話で済ませずに本気で古典力学復習した方がいいかなあ。

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2009年11月21日

卒研進捗状況

相変わらず卒研は遅々として進まない。化学反応は相変わらず基本的なことが分かっていないし、超流動(・超伝導)に関してはもはや忘れ去られてしまった。並行して Goldenfeld を読み進めていくという話が、未だに Introduction すら読み終わっておらず、研究に費やす集中が切れたところで思い出したように今日開いてみると、そもそもどこまで読み終わったかを忘れているくらいなので前の節に何が書いてあるかはとうに記憶の彼方(そもそも、集中が切れた状態で開いたので英語も数式も全然頭に入ってこずに、読むのは結局諦める)。

ただ、しばしば人から聞くように研究が辛いかというと、目下のところ、そのようなことは全くない。今のところは特に期限を意識していないというのが非常に大きく働いていて、「○日までにとにかく結果を出さなければいけない」というのが差し当たってないので(もちろん最終的には卒研発表があるのだけれど)、純粋に趣味のようなものとして、上手くいかない試行錯誤の過程も含めた上で研究を楽しめている(これには、師匠がいつぞやか言っていた「研究は上手くいかないのがデフォルト」という言葉も大きい)。ただ、裏を返せば、差し当たっては修論の提出期限が迫って、研究成果を近いうちに出せなければ自分の人生設計が大きく狂うとかいった状況に追い込まれれば非常に苦しくなるだろうが。

そういう、長期的な期限に追われているわけではない状況において、毎週1回の師匠との面会はペースを保つ上で非常に有難い。さすがに貴重な時間を割いてもらってアポをとっている以上、単なる個人的な趣味のように「今週は何もやってません、すいません」というわけにもいかないので、結果が出ようと出まいと、とにかく試行錯誤をして、うまくいったならいったでめでたいし、詰まったなら詰まった箇所を説明できる程度には手を動かす。将来的にはこの定期面談に甘え切っているようではいけないが、とりあえず今は研究の右も左も分からないので、ちょっとくらいはペースメーカーに頼ってもよいだろう。

とか、そういう内情を書き散らかそうとブログを作ったつもりだったが、研究しているうちに気になったことを書いているうちに次第にアクセスが増えてきた。「熱力学ポテンシャル」だとか「等重率の原理」だとかで検索するとこのブログがかなり上位にヒットしてしまうが、そんなのでいいのかなあ。一応、度を越して恥ずかしいこと(えらく見当違いの記事だったり、身の程を越えて背伸びした記事だったり)は書いてないつもりだけど。まあ、ちょっと検索すると出てくる今の感じだと、例えば研究室の人なんかには読まれてると思った方がいい(というか少なくとも田崎さんはコメント残していったし)。まあ、このブログは研究以上に義務感はないので、ぼちぼちやっていきます。

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2009年11月16日

Stratonovich Rule

未だに Langevin 方程式
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F:=\ddot{x}&=-V'(x)-\gm\dot{x}+\xi(t)\\  \lag\xi(t)\rag&=0\\  \lag\xi(t)\xi(t')\rag&=2\gm T\dl(t-t')を考えている。質量は1で、ポテンシャルは簡単のため調和型。

これについて、運動エネルギー
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E:=\frac{1}{2}\dot{x}^2の変化の平均を考えると、
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\left\lag\frac{dE}{dt}\right\rag = \lag F\dot{x}\rag = -\lag V'(x)\dot{x}\rag -\gm\lag\dot{x}^2\rag + \lag\xi(t)\dot{x}\ragとなる。ここで、因果律より
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\dot{x}(t_0)は t<t0 の物理量にしか依存しないはずだから ξ とは独立であり、第三項は0である。従って、 γ→0 (γT=const) なら平均的にエネルギーは保存するはず。

と、師匠と面会の時に言ったら笑われる。まあ、少し考えればその通りで、質量0の極限だと速度が「 Brown 運動」するはずだから、どんどん速度の二乗平均は増加していくはずだ。しかし、先の議論が間違っているようにも思えない。

試しに先の極限の差分化
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v_{i+1}-v_i&=V'(x_i)\Dl t + B_{\Dl t}=:F_{i\to i+1}\\  x_{i+1}-x_i&=v_{i+1}\Dl t\\  \lag B_{\Dl t}\rag&=0\\  \lag{B_{\Dl t}}^2\rag&=2B\Dl tを行って、先の極限で運動エネルギー
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E_i=\frac{1}{2}{v_i}^2を見てみると、やっぱり増えているが、
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\lag B_{\Dl t}v\ragは誤差の範囲で0だ。

お手上げ状態で師匠と面会して、「差分化した E の増分を真面目に計算しろ、まずはポテンシャル0の場合。」と言われてすぐに気づく。ランダム力の2乗の項が E の増分に入っている。ポテンシャルがある場合には、
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E_{i+1}-E_i&=\frac{{v_{i+1}}^2-{v_i}^2}{2}\\  &=F_{i\to i+1}\frac{v_{i+1}+v_i}{2}となる。そうか、これが Stratonovich Rule ってやつか!

最初の議論では軽々しく
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\xi(t)\dot{x}なんて書いたが、そもそもこれは揺らぐ量同士の積だから定義されていない。こういう積を議論したい時は適切な定義を選ばなければいけないが、 Itō Rule を定義として用いても物理的描像とは合致せず、物理的に意味のある結果を出したければ Stratonovich Rule を採用しなければならない。 vi+1 は当然 ξ と相関がある。しかもランダム力の平方の項が出るから常に正の相関だ。こうやって考えればエネルギーが増えるのも自然だ。

こういう罠に引っかかって、改めて確率微分方程式は怖いなあと思う。まあ、こうやって自分で色々失敗して身につけた知識こそが身になるものなのだろう。

本題とは関係ないが、 xmodmap でデッドキーの設定はどうやるのかなあ。 Itō の “ō” の入力が面倒くさい。 フランス語・ドイツ語に登場する文字は AltGr + アルファベットで出るようにしてるんだけど(だから Poincaré とか Schrödinger はすぐに入力できる)、 ō なんて滅多に入力する機会ないしなあ。

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加重線型最小二乗法

誤差付き観測データ
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\{(x_i,y_i\pm s_i)\}_{i=1,\dotsc,n}に直線
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y=ax+bを当てはめる場合を考える。ここで、 x についての誤差は考えない(自分が扱っているのが数値実験だから、基本的に x はパラメタであり誤差はないので)。また、直線以外の当てはめは基本的に精度が悪くなるので、適当な変形で直線に直すことをまず考える。

ここで a, b は残差の平方和 e2
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e^2&:=\sum_{i=1}^n{e_i}^2\\  e_i&:=\frac{ax_i+b-y_i}{s_i}を最小にするように定めればよい。これは a, b についての連立一次方程式
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\frac{\pd}{\pd a}e^2&=0\\  \frac{\pd}{\pd b}e^2&=0を解けばよいだけで、簡単のため
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[z]:=\sum_{i=1}^n\frac{z_i}{{s_i}^2}の略記を用いれば
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a&=\frac{[xy][1]-[x][y]}{[x^2][1]-[x]^2}\\  b&=\frac{[x^2][y]-[xy][x]}{[x^2][1]-[x]^2}となる。

さらに、
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y_i\sim N(ax_i+b,{s_i}^2)と仮定すると( N は正規分布、二つの引数は平均と分散)
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e^2\sim \chi^2(n-2)であることがいえるので、これを用いてフィッティングの信頼性を判定できる(が、そもそも誤差の分布が Cauchy 分布に従うとかいうとんでもない状況であればこんなことにはならない)。

これに加えて、各測定の誤差を独立でかつ相対誤差は十分小さいと仮定すると、誤差の伝播則
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\dl f(x_1,\dotsc,x_n)^2=\sum_{i=1}^n {\dl x_i}^2\left(\frac{\pd f}{\pd x_i}\right)^2を用いることができ、真面目に計算すると
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\dl a^2&=\frac{[1]}{[x^2][1]-[x^2]}\\  \dl b^2&=\frac{[x^2]}{[x^2][1]-[x^2]}が得られる。

加重最小二乗法についてあまり触れているサイトもないし、自分の計算結果をメモ代わりに。

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2009年11月9日

Dr. Giovanni Jona-Lasinio

先日の水曜、Jona-Lasinnioさん(既に敬意を表して敬称を省くべき先生かもしれない)の講演を聴いてきた。しかし、圧倒的に英語力が足りない。Readingは専門用語を知らないくらいで、辞書引いて時間かければ何とかなるし、Writingもたどたどしいが何とかなる。ただ、Listeningはゆっくりはっきり話せば聴き取れはするものの、ちょっとマイクに入ってなかったり、聴衆の咳払いがあるだけですぐ分からなくなる。あと、今回は関係ないが、Speakingは圧倒的にダメ。

印象に残った点:
  • 「対称性の自発的破れのような面白い現象が主に物性で見られるのはなぜか」という質問に対し、「物性は温度とか圧力とかいろいろパラメタいじれるけど、素粒子のパラメタは自然が決めちゃってるからね」との答え
  • Noticeable asymmetries still awaiting a convincing explanation in which spontaneous symmetry breaking may play a role:
    1. matter dominance over antimatter in the near universe
    2. dominance of left-handed molecules over right-handed in living matter
    講演会のスライド
    この2つを並列にしている点

特に後者はなかなか普通の素粒子屋さんからは出ない発想。さすが南部先生の共同研究者だ。素粒子屋さんとか宇宙屋さん(はそうではないかもしれないけど、特にそれを目指している学生)が陥りがちな行き過ぎた還元主義についてはそのうち別の記事を書くと思う。

どうでもいいけど<p>タグはブロック要素を包含できないのね。今日始めて気づいた(or昔は知っていたが完璧に忘却していた)。今までのは面倒なので放置するけど、これからは気をつけよう。

新たに文章を書くのであればDTDに沿った形にマーク付けしていけば良いだけだが、既存の文書をマーク付けするときには、「段落の中のリスト」のように、マーク付けしたい文書の構造がどう考えてもDTDに合わないので困るという問題が生じる。用途を詳しく分析した上で DTDを設計すれば、そのようなことはあまり起きない (かもしれない)。しかし、HTMLのように一つのDTDを様々なタイプの文書に用いるのでは、この種の不都合は避け難い。
(矢野啓介「HTMLにおける「段落」をめぐって」

ちなみに、これは1998年の文書だが、XHTMLもかなり使われるようになった今日となっては、HTMLといえども終了タグの省略はあまり推奨されたものではないとも思う。

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2009年11月3日

誤差論

  • 誤差論では(唯一の)「真の値」の存在を仮定する
  • 我々が得たいのは真の値である
  • 計測値は様々な理由により真の値からずれている
  • このずれを誤差(error)という
  • 誤差は系統誤差と偶然誤差に分類される
  • 系統誤差は発覚しにくいが、発覚したら除去は容易である
  • 偶然誤差は正規分布にしたがって発生すると仮定する
  • 系統誤差を除去した後、複数の標本をとることにより、真の値は区間推定に従ってエラーバー付きで推定する
というのが、一般的な誤差論の肝。だから、例えば量子力学に従う物理量を何回も測定して、その平均をプロットして、標準偏差をエラーバーにするという行為にはあまり意味がない。その測定の過程には「唯一の真の値」は存在しないから。

今考えてみれば全く当然のことだけど、自分で計画を立てて数値実験をしてみると全然分かってなくて、確率変数の標準偏差をエラーバーにして「あれ、エラーバーえらいでかいな」とか悩んでいた。まあこういう試行錯誤を通してみんな分かっていくんだろうけど。

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2009年10月25日

等重率の原理とエルゴード仮説

田崎さんの『統計力学』について、こんなレスを見つける。

田崎さんは 「系がマクロになると、許される状態のほとんど全てがほとんど区別できない」 を公理にして「マクロな系が平衡状態に緩和する」を導出してたが、 そこで暗に等重率の原理のようなものを使っている気がするんだけど・・

「あれ、田崎さんの本に緩和なんてブッ飛んだこと書いてあったっけ?」と思って久しぶりにIの方を開いてみる……確かに書いてあるな。

考えてみても、この指摘の本質は全く正しいように思う。筆者は平衡状態について

平衡状態についての基本的な仮定:ある系での(熱力学でいうところの)平衡状態の様々な性質は,対応する「許される量子状態」の中の「典型的な状態」が共通にもっている性質に他ならない。
(田崎晴明『統計力学I』培風館 初版p85)
と特徴づけているが、これに基づき非平衡からの緩和を
次に平衡状態への緩和の問題を考えよう。(中略)こういった非平衡状態も,エネルギーがほぼUである限りは,やはり「許される量子状態」の中に含まれている(脚注:このような非平衡状態に対応するのは,ほとんどの場合,エネルギー固有状態ではなく,複数のエネルギー固有状態の重ね合わせになると考えられる)。しかし,これは典型的な状態ではあり得ないから,ごく少数の例外的な状態の一つである。(中略)そこから出発して,系が時間発展したとき,特別な事情がないかぎりは,系の状態はごくごく小さな例外的な領域から外に出て,典型的な領域に入っていくと期待される(脚注:例外的な状態を作るには,複数のエネルギー固有状態を絶妙の係数をかけて足し合わせる必要があると考えられる。系がシュレディンガー方程式に従って時間発展すると,各々のエネルギー固有状態の位相が変化し,絶妙の重ね合わせは失われていくはずだ。)。
(引用元同上pp86-87、強調はこのサイトの筆者)
と議論している。「期待される」「はずだ」ってのは、あくまで仮定だ。もちろん、実験事実と照合することで正当化されている仮定ではあるけど、著者がこの前に置いている唯一の統計力学的仮定(もう一つ仮定があるが、それは前述の「平衡状態についての基本的な仮定」であくまで平衡系に限った話)
マクロな系の基本的性質:マクロな量子系では,ある平衡状態に対応する「許される量子状態」のほとんど全てが(マクロな物理量の測定値で比較されるかぎり)ほとんど区別できない。
(引用元同上p85)
から導かれるものでは、全くないように思える。

この「マクロな系の基本的性質」は、これを認めることで等重率の原理がエルゴード仮説を仮定することなく自然に導入され、それに立脚して統計力学の議論を進めることができたという点で、(著者はこの様な論理展開は明文化されているにせよいないにせよ真新しいことではないとしているが、少なくともはっきり第一原理として明文化したことについては)この書籍の極めて非凡なところだと思う。しかし、これによって説明されるのは、理論の中に「時間」という変数が全く入ってこない平衡統計力学だけであって、それを平衡統計力学の範疇外である緩和の説明にも使おうとしたのは、ちょっと勇み足ではなかろうか。

「例外的な量子状態」から出発して時間発展したときに、未来永劫「例外」に留まりつづけるかもしれないし(「許される量子状態」全体の空間から「例外的な量子状態」全体の部分空間を抜き出したとき、その部分空間は時間発展に対して不変かもしれない!)、そこまでしなくても、「典型的な量子状態」から出発した時より極めて高頻度に「例外的な量子状態」を訪れ続けるかもしれない。こういう事態を防ぐためには、新たな仮定

「任意の(あるいは、「例外的な量子状態」の中のさらに例外を除いたほとんどの)初期条件を選んで系を時間発展させることで得られる状態のほとんどは『典型的』である。」
を加えないといけない。清水さんの方の草稿には、「強いエルゴード仮説」として、これに似た(もっと強い)仮定が紹介されている(一般的なエルゴード仮説とは異なり、対象を巨視的変数に限定しているが)。しかし、清水さんもその草稿で言及しているが、これじゃあ「非平衡状態は平衡状態に緩和する」という仮説を、大して変わらない別の仮説を使って言い換えただけに見えてきてしまって、ほとんど旨味はない。

こういうことに関してなかなか深く考える機会はないが、平衡統計力学の基礎付けすら難しいのであるから、況んや本質的に非平衡である緩和過程をやと思った。そして、田崎さんの本はそれでもやっぱりいい本だなあと思った(熱力学の方はHelmholtzエネルギーから入るところがエントロピーから入る佐々さん・清水さんと比べてあんまり好きではないんだけど……でもあっちも網羅的だし、いい本)。

追記。田崎さん本人のコメント(これ以下)で、この批判は誤読だと指摘されています。ぜひご一読ください。

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2009年10月19日

確率微分方程式

化学反応のモデルとして次の師匠との面会までにLangevin方程式を解くことになっている。そんなの余裕だろと思っていたら、先日の面会では「罠があるよ」と言われた。いざコードを書こうと思ったら、4次のRunge-Kuttaではランダム力を単純に外力として入れるわけにいかないことくらいはすぐ気付く。

4次のRunge-Kuttaは関数を4回使うからランダム力をどうやって入れたらいいのか分からないのであって、単純なEuler法なら行ける気がするけどなあ……と思いながら、でも確率微分方程式の数値解法は今後も頻繁にお世話になると思われるので、Runge-Kuttaの単純な拡張があるのかとりあえずGoogleで検索かけてみる。そうすると、どうも既に「終わった」話題ではなさそうで、不安定性とかそういうキーワードがすぐに目につく。そりゃそうか、Fokker-Planckが不安定性生じる可能性あるなら、当然Langevinでも不安定性が生じていいよな。

普通の常微分方程式なんてのは、4次のRunge-Kuttaなる万能解法があるわけで、保存量を離散化させても保存させたいからシンプレクティック解法使うとか、まあそういう特殊な事情がなければこれ以外を使う必要はない。一方、偏微分方程式はちょっと気を抜くとすぐに解が発散するから、方程式に応じて適切な解法を考える必要がある。Fokker-Planckも、そのものを解いたことはないが、過去に反応拡散解いたときはえらい苦労させられた。確率微分方程式は、形の上では常微分方程式なので前者のクラスに属するかと思ったら、偏微分方程式同様、方程式ごとに解法考えないといかんという理解でいいのかなあ。まあ、LangevinとFokker-Planckは等価だから、多分そうなんだろうなあ。

でもとりあえず、まずは深いことを考えずに(とりあえず誤差評価だけは予めしておくけど)Euler法を回してみよう。対応するFokker-Planckも回して、結果を比較した法がいいかもしれない。

今まで特に何も考えず、Fokker-Planckと例のドリフトのある拡散方程式のことを言っていたけど、このPlanckって、かのMax Planckのことか。今日まで気付かなかった。やっぱり物理学会の大巨人だなあ。化学反応の話を師匠としたとき、師匠は物理の観点からArrheniusを導出したのはKramersと言っていたが、彼もKramers-KronigとかWentzel-Kramers-Brillouinとか、大はつかないまでも巨人。BrillouinもWKBだけじゃなくBrillouinゾーンとかに名を残している。とか、こんなことを考えていると、自分もすっかり物理オタクになったもんだなあと感慨深い。太田先生には足元にも及ばないが。

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2009年10月16日

研究テーマ

昨日は、研究室セミナー(自己紹介)と歓迎会があった。自己紹介(研究の概要紹介)はさすがによく分からない。歓迎会ではとある大先生の武勇伝(研究室でキレて醤油ブチまけたとか)が聞けた。ほかにも「あの人は一時期株にはまってた」とか「この人は偏見が強いからなあ」とか。M1の先輩によると熊本ラーメン(今年度秋の物理学会は物性は熊本)はまずかったらしい。

今日は師匠と面談して、研究テーマ決め。5つ考えてこいとの難題で、2つは内容を詰められたが3つは苦し紛れ。結局苦し紛れな方の3つは捨てて、残り2つの、反応速度論を非平衡から真面目にやるか、超流動(超伝導)の輸送係数の消失を非平衡で真面目に出すかというところに決定。まずはこの2本立てでやってみて、あとで絞ろうという話に。

とりあえず、今日は疲れたから自分の手は動かさずにまずは勉強。現象論としてGinzburg-Landau理論を調べてみる。巨視的波動関数って何じゃ一体。まずは現象論を抑えて、次に先学期聴いた院の講義(最後フェードアウトしてしまったけど)にも出てきたBCS理論、Bogoliubov理論で平衡統計力学の範疇の理解をしなきゃ。あと、線型応答も極めて怪しいので、応答係数と時間相関関数の関係とかKubo公式の導出あたりは土日にやっといた方がいいかもしれない。

そんなこと考えてると気が滅入ってくるので、研究室のサーバの設定もしてみようと思い、まずはSSHでログイン。authorized_key2をSCPで送ってみる。しかし、一向にパスワードの入力がサボれない。これはひょっとするとRSA認証を許可してないのか? 今度管理してる先輩に会ったら聞いてみよう。それにしても、SFTPが使えないようだ。これは、テキストファイルのちょっとした編集をするのにはEmacs(かvi)を使うしかなさそう。Emacsはあのキーバインドにどうしても慣れないので、今まではgEdit使ってたけど、さすがにそろそろ宗旨変えが必要かなあ。気が乗らないなあ。

今日の講義の名言。「Kramers-Kronig関係式の導出には因果律しか使ってないので、どれだけ強い非平衡であっても、例えば生物をどついてもその応答はKramers-Kronig関係式が成立する」

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2009年10月12日

平均場近似と擬似自由エネルギー

例えばIsing模型の平均場近似では(実際にやったのは格子気体だけど、簡単のためIsingで記載)
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Y=\cosh^n\bt(zJ\lag s\rag+\mu_0 H)となるわけだけど(zは隣接サイト数、Jは結合強度)、これの対数とって自由エネルギーG=F-HMを求めて、それをHで微分してmに関するself-consistent
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m=\tanh^n\bt(zJm+\mu_0 H)と持ち込もうと思ったら(M=mN)、師匠から「<s>はβとHの関数でしょ、それもちゃんと微分しないとダメじゃん」という趣旨のツッコミを受け、ホワイトボードの前で大混乱する。

結局その時は、師匠の助け船で、「分配関数(この場合は平均場近似により事実上一体問題に帰着できたので、「一粒子」分配関数で良い)でBoltzmann因子を除したものが確率だから、それを使って直接平均値を出せば良い」ということで事なきを得た。ついでに「下手に熱力学を使うと混乱するから使うな」とも言われ、「平均場が分かっていない」と叱責(語調はそうではなかったけど、後々のためにそういうこととして捉えておくことにする)を受けた。

しかし、例えば長距離相互作用模型では平均場と全く結果は同じになるはずだから、統計力学的確率分布が使えて熱力学が使えないはずがない気がする。そういうわけで、相転移・平均場近似のあたりを復習してみると、ここで求めたGは自由エネルギーではなく、「擬似自由エネルギー」というやつかと気付く(というか田崎さんの本に書いてある)。これはG(N,β,H)と捉えるべきではなく、G'(N,M,β,H)と捉えるべき関数なのか。真の自由エネルギーはLegendre変換
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G(N,\bt,H)=\min_M G'(N,\bt,H,M)によって求められ、self-consistent方程式を解くことがGを最小にするMを求めている操作に他ならないことに気付いた。

似たようなところで混乱する人はきっといるはずなので、記録を残しておくことにする。(といっても、好き放題書き散らかした文章なので、下手したらこれ読んで余計混乱する人がいるかも……あらかじめ、不十分な理解により誤りもしくはミスリーディングな部分が含まれている可能性があると予防線は張っておく)

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2009年10月5日

続・熱力学ポテンシャル

昨日の書き忘れ。要するにもっとも一般的な形式だと、エントロピーの自然な変数が
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S(X_0,\dotsc,X_n)で表されるような時、これに共役な示強変数
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B_n:=\frac{\pd S}{\pd X_n}が定義できて、熱力学ポテンシャルも
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\Ph_{i_1,\dotsc,i_k}:=S-\sum_j B_{i_j}X_{i_j}と定義できる。この時、統計力学的にはこの熱力学ポテンシャルは次に定義される分配関数を使って
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\Ph_{i_1,\dotsc,i_k}&=k_B\log\Om_{i_1,\dotsc,i_k}\\\Om_{i_1,\dotsc,i_k}&:=\sum_{\{\Gm\}}\exp\left(-\sum_{j=1}^k B_{i_j}X_{i_j}\right)と表される。ここでΓは固定された示量変数(つまりX_{i_1},...,X_{i_k}以外)において許容されるミクロな物理量の組み合わせ。ちなみに、書いてある教科書を見たことがないのであまり意識されにくいが、
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S&=k_B\log W\\W&=\sum_{\{\Gm\}}1と状態数が表現できることは驚いてよいと思う。ま、清水先生の教科書に書かれることだろうけど。

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2009年10月4日

熱力学ポテンシャル

昨日は師匠と面会。J=-PVをすっかり忘れていた、不覚。Gibbs-Duhemの関係式は美しいなあ。

そんなことより、熱力学ポテンシャルはいくつか種類があるわけだけど、
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U&\\  H&=U+PV\\  F&=U-TS=-\frac{1}{\bt}\log Z\\  G&=U-TS+PV=-\frac{1}{\bt}\log Y\\  J&=U-TS-\mu N=-\frac{1}{\bt}\log\Xiエンタルピーはともかく、Helmholtzエネルギー、Gibbsエネルギー、グランドポテンシャルってのは座りが悪い。ZとΞには分配関数・大分配関数と命名されているのに、Yだけ命名がないのも何か嫌だ。あと、エンタルピーも理屈の上ではexp(-βPV)の和(積分)で書けるはず。Pだけ慣習(というか力学との整合)で符号が逆なのが気持ち悪いな。

しかし、どうもやっぱりエネルギー表示(UのLegendre変換)は表式が汚い。分配関数の対数の符号なんかもそうだし、あるいは大分配関数の表式なんかに 現れてるけど、
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\Xi=\sum_{N,i}\exp(-\bt E_{N,i}+\bt\mu N)ってのが、
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\Xi=\sum_{N,i}\exp(-\bt E_{N,i}-\al N)となるだけで見た目が良くなる。このαは
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\bt=\frac{\pd S}{\pd U},\ \al=\frac{\pd S}{\pd N}と、非常に対称性が良い。見た目が良い記法というのは往々にして本質的である場合が多い。実際Onsagerの相反定理なんかはエントロピーの微分で定義される示強変数の輸送係数を考えるわけで。

エントロピー表示だと熱力学ポテンシャルは例えばこんな感じ? 面倒だからBoltzmann定数を取ってしまえば(ただし逆温度はβ=1/T)
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\Sg&=\frac{S}{k_B}\\  \Ph&=\Sg-\bt U=-\frac{F}{k_B}=\log Z\\  I&=\Sg-\bt U-\al N=-\frac{J}{k_B}=\log\Xi\\みたいに、表式がものすごく綺麗。このβとかαがそのまま熱力学的力となり、輸送係数が相反性を満たす。ここまで整理すると、熱力学関係式にも例えばMaxwell方程式に決して劣らぬ美しさがあるなあと感慨深くなるのは巨視的物理やってる人だけなのかなあ。

とりあえず、宿題は格子気体で準安定状態を出す。その日のうちに久々に二次元Ising平均場近似を計算したら、磁化を求める時に混乱した。
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\sum_{\{\sg_i\}}\exp\left[-\bt\left(4J\sg_i\lag\sg\rag-\mu_0 H\sum_i\sg_i\right)\right]は実は外場付きの分配関数なので、ZではなくYの役割を果たすものと考えなければならない。ここで固定されているのは示強変数の磁場であり、カノニカル分布を使うなら固定されているのは磁化の方だ。と、物質中の電磁気学を理解していないことが露呈。でも、Zと書いてる教科書はミスリーディングだよなあ(と責任転嫁)。磁性体(or誘電体)に関して、電磁気学と熱力学双方の観点から整理してくれる教科書が欲しい。

どうでもいいけど、XREAに入ってるPHPは5.1.2なので、Nowdocが使えない。この数式はTeXで打ってるわけで、\が勝手にエスケープされると困る。そういうわけで、@を\に置換して使ってるけど、つい癖で\logとか打っちゃうなあ。PHP5.3以降インストールしてくれないかな。

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2009年9月18日

心構え

卒研を始めるにあたりボスと会談して印象に残ったこと。

  • 理屈の上では理解できる、でも直感の上では何かモヤモヤ感が残るようなところから往々にして研究は発展していく。
  • 学校の試験だと8割解ければ(うちの大学では)優だけど、論文には一つでも間違いがあったら切腹もの。だから、院に入ると学部とは質も量も比べものにならないくらい勉強が必要。

前者でどうしても引っかかるのは、いわゆる線型応答。どっからともかくエントロピー生成とか大偏差が出てきて、それで説明がついちゃうというのは何か腑に落ちない。まあ、腑に落ちないというのは自分の理解があやふやであるからという方が往々にしてあるわけで、量子論なんか直感的には腑に落ちるわけがないんだけど、清水さんの本のようにきっちり書かれると引っかかる箇所が「原理」に追い込まれていくので、あとはその腑に落ちない部分が凝縮した原理を受け入れれば(いくら腑に落ちなくてもそれが実験結果なのだから、自然科学をやっている以上受け入れるほかない)すっきり理解できる。そういうわけで、物質中の電磁気も線型応答も清水さんの教科書が読みたいなあという結論に落ち着く。とはいっても、ないものは仕方ないので、自分の中でしっかり理解できるように勉強しなおそう。

卒研は今のところ粉体なんかに興味がある。とはいっても、粉物(たこ焼きとか)は好きだけど、小麦粉自体が好きなわけではないので、何か内部自由度をもった「粒」を扱う感じになるかな。というか、複雑な相互作用があると、輸送以前に平衡状態からして自分にはよく分からん。

それと二本立てで勉強もした方が良かろうということなので、推薦されたN. Goldenfeld Lectures On Phase Transitions And The Renormalization Group でも読もうかなあ。とりあえず図書館で借りてみよう。それにしても洋書は高い。これを公費で買えるというのは大きい。

全然関係ないのだが、大自由度カオスを考察しろというレポートで、Rössler方程式に拡散項を付加した偏微分方程式を数値解析してみたのだが、どうも解が爆発する。尤も、放物型方程式は時間差分が空間差分に比較して粗いとしばしば不安定化するので、計算量が多くなってイライラしながら時間差分をできるだけ小さくとってみても発散の様相は変わらない。無理やりフィードバック項を入れてみたら、Turingパターンのようなものができたので、この不安定性は方程式に内在するものなのだろうとか考察してレポートを提出してから教授と話したところ、「確かに爆発するかもねえ。」という感想をもらった。しかし、拡散項さえ入れなければアトラクタが有界なのに、拡散項入れた瞬間にスパーンと発散してしまうのが、やはりどうも腑に落ちない。

と、これを書いててbloggerはMathML使えないことに気づいた(無理やり.htaccessでAddTypeしても変なJavaScript内部に埋め込むせいでXMLがValidじゃなくなってMozillaに解釈拒否されてしまう)。XREAってTeX使えたっけなあ。もしdvipngとかまで使えるなら、数式をpngに変換してくれるCGIでも書いてみるか。

追記。計算してみた方程式はこれ。
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\dot{x}&=-y-z\\\dot{y}&=x+ay\\\dot{z}&=b+z(x-c)+D\nb^2 z

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