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Yellow Magic Oracles

2009年10月25日

等重率の原理とエルゴード仮説

田崎さんの『統計力学』について、こんなレスを見つける。

田崎さんは 「系がマクロになると、許される状態のほとんど全てがほとんど区別できない」 を公理にして「マクロな系が平衡状態に緩和する」を導出してたが、 そこで暗に等重率の原理のようなものを使っている気がするんだけど・・

「あれ、田崎さんの本に緩和なんてブッ飛んだこと書いてあったっけ?」と思って久しぶりにIの方を開いてみる……確かに書いてあるな。

考えてみても、この指摘の本質は全く正しいように思う。筆者は平衡状態について

平衡状態についての基本的な仮定:ある系での(熱力学でいうところの)平衡状態の様々な性質は,対応する「許される量子状態」の中の「典型的な状態」が共通にもっている性質に他ならない。
(田崎晴明『統計力学I』培風館 初版p85)
と特徴づけているが、これに基づき非平衡からの緩和を
次に平衡状態への緩和の問題を考えよう。(中略)こういった非平衡状態も,エネルギーがほぼUである限りは,やはり「許される量子状態」の中に含まれている(脚注:このような非平衡状態に対応するのは,ほとんどの場合,エネルギー固有状態ではなく,複数のエネルギー固有状態の重ね合わせになると考えられる)。しかし,これは典型的な状態ではあり得ないから,ごく少数の例外的な状態の一つである。(中略)そこから出発して,系が時間発展したとき,特別な事情がないかぎりは,系の状態はごくごく小さな例外的な領域から外に出て,典型的な領域に入っていくと期待される(脚注:例外的な状態を作るには,複数のエネルギー固有状態を絶妙の係数をかけて足し合わせる必要があると考えられる。系がシュレディンガー方程式に従って時間発展すると,各々のエネルギー固有状態の位相が変化し,絶妙の重ね合わせは失われていくはずだ。)。
(引用元同上pp86-87、強調はこのサイトの筆者)
と議論している。「期待される」「はずだ」ってのは、あくまで仮定だ。もちろん、実験事実と照合することで正当化されている仮定ではあるけど、著者がこの前に置いている唯一の統計力学的仮定(もう一つ仮定があるが、それは前述の「平衡状態についての基本的な仮定」であくまで平衡系に限った話)
マクロな系の基本的性質:マクロな量子系では,ある平衡状態に対応する「許される量子状態」のほとんど全てが(マクロな物理量の測定値で比較されるかぎり)ほとんど区別できない。
(引用元同上p85)
から導かれるものでは、全くないように思える。

この「マクロな系の基本的性質」は、これを認めることで等重率の原理がエルゴード仮説を仮定することなく自然に導入され、それに立脚して統計力学の議論を進めることができたという点で、(著者はこの様な論理展開は明文化されているにせよいないにせよ真新しいことではないとしているが、少なくともはっきり第一原理として明文化したことについては)この書籍の極めて非凡なところだと思う。しかし、これによって説明されるのは、理論の中に「時間」という変数が全く入ってこない平衡統計力学だけであって、それを平衡統計力学の範疇外である緩和の説明にも使おうとしたのは、ちょっと勇み足ではなかろうか。

「例外的な量子状態」から出発して時間発展したときに、未来永劫「例外」に留まりつづけるかもしれないし(「許される量子状態」全体の空間から「例外的な量子状態」全体の部分空間を抜き出したとき、その部分空間は時間発展に対して不変かもしれない!)、そこまでしなくても、「典型的な量子状態」から出発した時より極めて高頻度に「例外的な量子状態」を訪れ続けるかもしれない。こういう事態を防ぐためには、新たな仮定

「任意の(あるいは、「例外的な量子状態」の中のさらに例外を除いたほとんどの)初期条件を選んで系を時間発展させることで得られる状態のほとんどは『典型的』である。」
を加えないといけない。清水さんの方の草稿には、「強いエルゴード仮説」として、これに似た(もっと強い)仮定が紹介されている(一般的なエルゴード仮説とは異なり、対象を巨視的変数に限定しているが)。しかし、清水さんもその草稿で言及しているが、これじゃあ「非平衡状態は平衡状態に緩和する」という仮説を、大して変わらない別の仮説を使って言い換えただけに見えてきてしまって、ほとんど旨味はない。

こういうことに関してなかなか深く考える機会はないが、平衡統計力学の基礎付けすら難しいのであるから、況んや本質的に非平衡である緩和過程をやと思った。そして、田崎さんの本はそれでもやっぱりいい本だなあと思った(熱力学の方はHelmholtzエネルギーから入るところがエントロピーから入る佐々さん・清水さんと比べてあんまり好きではないんだけど……でもあっちも網羅的だし、いい本)。

追記。田崎さん本人のコメント(これ以下)で、この批判は誤読だと指摘されています。ぜひご一読ください。

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11 件のコメント:

  • 2009/11/04 22:55:00 JST に投稿, Anonymous とね さんは書きました...

    はじめまして。「とね」と申します。
    田崎先生のこの教科書を読み、こちらにたどり着きました。私のほうのブログの記事でMackyさんのこの記事をリンクさせていただきましたが、リンクをお許しいただけますでしょうか?

     
  • 2009/11/05 16:14:00 JST に投稿, Blogger Macky さんは書きました...

    とねさん

    リンクありがとうございます。僕はWWWに公開したものは当然リンクされる可能性があるものと理解しており、むしろリンクという形で引用を受けるのは一つの評価だと考えています(たとえそれが批判的な引用であっても)。ですので、リンクはご自由にお願いします。もちろん、こうやって一報を下さる分には歓迎します。

    ただ、
    >特に統計力学のベースは確率論の「等重率の原理」であって「エルゴード仮説」ではないということについては田崎先生の説明はとてもわかりやすく、自分の誤解を正すことができてよかった。このあたりの解説はMackyさんのブログの「等重率の原理とエルゴード仮説」という記事で詳しく述べられている。
    ということですが、いくつか誤解がある(もしくはミスリーディングな記載である)ように思われます。

    まず、統計力学においては、おそらくすべての教科書は物理的な仮定である等重率の原理を基礎としています。等重率の原理とは、以下のような仮定です。例えば一成分流体系では巨視的変数E,V,Nを指定すれば熱力学的状態は一意に決まります(この一成分流体系におけるE,V,Nは清水さんの教科書では「エントロピーの自然な変数と呼ばれています)。この巨視的変数をパラメタとして与えた系を考え、その微視的力学を覗いてみましょう。巨視的変数を固定しても微視的状態は当然一意に決まりません。この微視的状態を確率変数として扱い、さらに一様分布していると仮定したのが等重率の原理です。説明の中に「微視的」「巨視的」といった単語が入っていることからも分かりますように、これは物理的な仮定であり、純粋数学の確率論は道具として用いていますが、そこからもたらされるものではありません。

    ここで、おそらくすべての教科書は等重率の原理を基礎においていると書きました。等重率の原理からミクロカノニカル分布が直ちに出てくるので、これはもっともスタンダードな導入です。それでは、エルゴード仮説とは何かというと、この等重率の原理をさらに説明する理由付け(として田崎さん以外の多くの教科書が採用していた論法)です。そして、田崎さんの本に書かれているように、微視的変数に関するエルゴード性は、Nが大きくなればなるほど時間平均として宇宙年齢を凌駕するような莫大なスケールをとる必要があり、Nが大きければ大きいほど巨視的変数の揺らぎが小さくなるという統計力学の基礎づけとしては、完全に的を外しています。

    このエルゴード性に代わって等重率の原理の理由付けに田崎さんが用いたのが、本文中で引用した「マクロな系の基本的性質」という仮定であり、これが同著の極めて非凡な点です。また、巨視的変数に関するエルゴード性を基礎づけに用いるのは的外れとは言えませんが、田崎さんは無意味なものとしています(「マクロな系の基本的性質」「平衡状態についての基本的な仮定」の2つの仮定から巨視的変数は一意に定まるのでそもそも時間的平均をとる必要がないとしている)。清水さんは巨視的変数のエルゴード性に基づいて草稿を執筆しているので、こちらからどうまとめるのかは個人的に注目しています。

    さて、僕のこの記事なのですが、以上に説明した平衡統計力学の基礎付けに関することが主題ではなく、本文中ではそちらの説明は省いています。なので、僕の記事で詳しく述べているというわけではありません(「今このコメントで詳しく述べたから結果的にはいいじゃん」という話もありますが^^;)。この記事の趣旨は、田崎さんは上に挙げた仮定で平衡状態への緩和過程をも説明しようとしていますが、それは勇み足ではないのかという批判です。非平衡状態を含むほとんどの状態で、巨視的変数に関するエルゴード性などを仮定すれば、これは説明できるんですけどね(しかし本文中にも述べている通り、これで緩和を説明したと主張するのはあまり意味がないように思えます)。

    まあ、検索に引っかかるように「等重率の原理とエルゴード仮説」なんていういかにもなタイトルをつけてしまったので、平衡状態の基礎付けについて述べていると受け取られても僕の自己責任ですが^^;

     
  • 2009/11/05 17:35:00 JST に投稿, Anonymous とね さんは書きました...

    Mackyさん

    なるほど。自分がラフな記事の趣旨を読み取れていないことがよくわかりました。
    大雑把な理解でリンクを貼ってしまい、申し訳ございませんでした。
    大変詳しく教えていただきとてもありがたく思っています。
    田崎先生がエルゴード仮説のところで述べられていることは、一般的に正当性が確認されて
    いることではなかったわけですね。清水先生の教科書は持っておりませんがMackyさんの
    ご説明でどのあたりに議論の余地が残されているのかがよくわかりました。
    私のほうの記事も、こちらの記事と矛盾がないように修正しておきますね。

     
  • 2009/11/07 2:29:00 JST に投稿, Blogger Macky さんは書きました...

    とねさん

    上手く伝わっていないようなので再度整理します。以下の2段落が最重要で、残りはそれについての付加説明です。

    田崎さんの論旨はこうです。4-1-1で「1. マクロに見たときのただ一つの普遍的な平衡状態と,ミクロに見たときの膨大な数の状態は,どのように対応するのか?」「2. なぜマクロな世界には「時間の向き」があり,マクロな系の状態は平衡状態に落ち着くのか?」(出典:田崎『統計力学I』)との2つの疑問を呈しています。この2つに対して「マクロな系の基本的性質」「平衡状態についての基本的な仮定」の2つを仮定することでその回答としたのが4-1-2、その2つの仮定に基づき等重率の原理を導入したのが4-1-3です。さらに、一般の教科書では微視的変数に関するエルゴード性を仮定していますが、4-1-6ではこれは全く説明になっていないとしており、巨視的変数に関するエルゴード性も、1.を説明するためには的外れではないものの不要であるとしています。ここで誤解のないように定義をはっきりしておきますと、「変数Xがエルゴード的である」というのは、「Xのアンサンブル平均と時間平均が一致する」という意味です。

    一方、以下が僕の論旨です。2つの疑問のうち、1.の方は平衡統計力学の基礎づけに極めて重要であり、その回答として微視的変数に関するエルゴード性を的外れと断じてその代わりに「マクロな系の基本的性質」「平衡状態についての基本的な仮定」の2つの仮定をおいたのは極めて評価できる(そういう意味で4-1-6の記述は全うであると思います)。しかしながら、田崎さんはこの2つの仮定を2.に対する回答としても用いており、こちら勇み足ではないかと批判しているわけです。

    平衡統計力学の基礎付けと関わるのは1.だけであり、2.は本質的に非平衡の問題です。ですから、2.に関して多少勇み足な記述が4-1-2で見られますが、それは本書の以降の部分には全く関係なく、本書の素晴らしさにはほとんど影響しません。実際、僕もそのような平衡統計力学の範疇外の問題が記述されているとは全く思わず、2chのレスを見るまでは読み飛ばしていましたから。なお、1.に関してエルゴード仮説が不要であるという論旨に関して、今のところ有効な反論はなされていないはずです。

    また、2.の疑問を説明するには、付加的な仮定が必要です。例えば、清水さんの草稿にある「巨視的変数に対する強いエルゴード仮説」、「孤立した単純系において、任意のミクロ状態を初期状態として、任意のマクロ変数Aの値を、時間間隔τごとに測る。」(清水明『統計力学の基礎』草稿 強調はこのサイトの筆者)とエルゴード的であるとか。

    清水さんはこちらの仮定で緩和が説明されるのをインチキ(だとどこかで言っておられたように思います)としており、実際に彼の教科書で採用されている仮定は、「孤立した単純系において、平衡状態に対応するような任意のミクロ状態を初期状態として、任意のマクロ変数Aの値を、時間間隔τごとに測る。」(出典同上)とエルゴード的であるというものです。清水さんはこの巨視的変数についてのエルゴード性と、等重率の原理を仮定しています。前者は、平衡状態の性質を見るだけなら田崎さんの言う通り不要な仮定ですが、おそらく清水さんはこの仮定を用いて揺らぎを議論したいのでしょう。実際、田崎さんの教科書では、揺らぎに関する記述は全くありません。

     
  • 2009/11/09 11:23:00 JST に投稿, Anonymous たざき さんは書きました...

    田崎です。

    拙著について議論していただき、うれしいです。

    最初のコメントには意表をつかれました。さすが2ちゃんねらーだ。

    まず結論を言っておくと;
    これは(ぼくの本のロジックの)誤読に基づくコメントだと思います。ただし、これは(特に既習者や平衡への接近について真摯に考えている人がぼくの本のこの部分を再読したとき)きわめて生じやすい誤読であり、その責任は著者にある。というわけで、web で答えるなり、軽く注を入れるなり、何らかの対処が必要ですね。やります。


    で、なぜ「誤読」と思うかを簡単に書きます。

    1 ぼくの本では平衡への緩和を導くなどという大胆なことはしていない。

    そもそも論理構成として、「平衡への接近がある」ことを経験事実として認め、それを出発点にしている。
    4-1-2 でやっていることは、経験事実を認めた上で、それに整合する物理的描像を直感的に模索するということ。だから、「期待される」とかそういう書き方になっている。


    2 そもそも通常のエルゴード仮説を認めても平衡への接近は示せない。

    これについては、Macky さんはおわかりだと思いますが、最初の2ちゃんの書き込みでは誤解があるようです。
    数学でいうところの(そして一部の力学系で証明されている)エルゴード性があっても、系が例外的な状態から永遠に抜け出ないことは除外できない。そういう例はいくらでもつくれる。



    実は、ぼくはかつて「量子力学だけを使ってカノニカル分布への緩和を導く」という論文を書いています。その際にも、やっぱり系の性質や初期条件についての仮定が必要でした。
    一般に、純粋に力学だけにもとづいた「平衡への接近」の説明はないと思っています。
    そうすると何らかの非力学的な仮定が必要になります。それにはいろいろなやり方があるでしょうが、少なくとも、「平衡への接近が見られる」というもっとも基本の経験事実を仮定として認めるというのは、ひとつの正直なやり方でしょう。少なくとも、この本ではその道をとったわけです。

    さて、清水さんがこのあたりを彼の本でどう料理するかはぼくも楽しみです。そのうち草稿ができたら、イリノイの大野さんとかぼくとかで、喧々囂々と議論することになると思います。

     
  • 2009/11/11 4:06:00 JST に投稿, Blogger Macky さんは書きました...

    田崎さん

    ブログとかmixi(僕はやってないですが)とかで田崎さんや田崎さんの教科書のことを取り上げると、田崎さんがいらっしゃってコメントを残していかれるというのは学生の間ではそこそこwell-knownな経験的事実なのですが、いざ自分がその立場になると、小学生の悪戯が先生に見つかったときのヒヤヒヤ感のようなものを覚えます。別に悪いことは何もしてないはずですが(たぶん)^^;

    > 拙著について議論していただき、うれしいです。
    こちらこそ、田崎さんの著書で勉強することができて大変幸せに思っております。

    > 4-1-2 でやっていることは、経験事実を認めた上で、それに整合する物理的描像を直感的に模索するということ。
    整合する(矛盾しない)描像の模索ということだとすれば、おっしゃっていることは分かります。初版p83には
    > こうして,マクロな系での平衡状態についての経験的事実をミクロな立場から見たとき,主に次の二つの本質的な疑問が浮かび上がってくる。
    > 1. (略)
    > 2. なぜマクロな世界には「時間の向き」があり,マクロな系の状態は平衡状態に落ち着くのか?
    > これに何らかの解答を出さないかぎり,統計力学は進められない。
    とありますが、僕は「解答」というのを「適切な仮定を措いた上での導出(またはそれに近い説明)」という意味だと読んでしまいました。それで、その仮定がp85の「マクロな系の基本的な性質」では、導出はもとより説明としてもかなり不十分ではないかと。まあ、「田崎さんが『期待される』『はずだ』なんて口を濁した書き方をされているということは何か裏でもあるのかな」とは思っていましたが。

    せっかくご本人がいらっしゃったので、そのロジックに関して確認させてください。
    田崎さん(あと、大野さんや佐々さんなんかもそうでしょうか)の思想としては、まず現象論としての熱力学ありきであり、統計力学は熱力学と整合するように作られる」というもの。従って、統計力学の目的は、ミクロな力学に加えて適切な仮定(等重率の原理など)を措くことにより、熱力学の結論を導出すること。ただし、本書では(というか平衡統計力学では)緩和は議論しないので、「非平衡状態は平衡状態に緩和する」という経験事実そのものを仮定とし、それと矛盾はしないようにその他の仮定を定めた。
    という理解でよろしいでしょうか?

    > 最初の2ちゃんの書き込みでは誤解があるようです。
    そうですね。「複雑系の人は要るって言うみたいだね」という一文だけが明らかに浮いていて(そのような事実は僕自身は聞いたことありませんが)、今ひとつ文意が掴みかねるところですが。

     
  • 2009/11/12 0:25:00 JST に投稿, Anonymous たざき さんは書きました...

    そういうサマリーでだいたいいいとは思うのですが「熱力学の結論を導出する」というのも、どこまでできているかは疑問です。というか、ぼくの教科書なんかでも、そういう大それたことをしようという気はあんましない。等重率の原理からは色々と出るので、それを使い、それだけで不十分なときはさっさと熱力学の助けを借りているでしょ? たとえば、黒体輻射のところは好例です。

    緩和を議論する気がないというのは、まさに、そのとおり。

    誤解を生みそうなところは少しいじることを考えます。

    (ただし、これは本の書き方の話。実際のぼくは、はるかにミクロ大好き、量子力学大好きな無節操な研究者です。まあ、そういう話はリアルでしましょう。すぐに会うでしょ?)


    >そこそこwell-knownな経験的事実

    ううむ。そうだったか。「ぼくがここに来たことは二人だけの秘密だぞ!」とか言い残して去るべきなのかも。

    >「複雑系の人は要るって言うみたいだね」

    2ちゃんとかネット上での若い人(なんだと思う)の発言を見ていて時々強くひっかかるのは「田崎さんはアンチ複雑系だから、エルゴード性が嫌いらしい」みたいな空気を感じる場合があること。ぼくらが、そんなセクトっぽい感覚で学問的判断・発言をしていると思われるのは非常に悲しい。ていうか、物理学者ってその程度のものだ思われているのだろうか?

    エルゴード性と統計力学の関係は、一種の「都市伝説」みたいに多くの物理学者のあいだに広まってしまった。これは、まずいですねえ。ちゃんと理解した上で積極的に捉えている人はほぼ皆無だと思うのだけど、ともかく、エルゴード性が大事だと思っている人のほうが多数派だから。

    尻切れトンボだけど、ここは書きにくいので、これくらいで。

     
  • 2009/11/12 13:00:00 JST に投稿, Anonymous とね さんは書きました...

    Mackyさん

    1週間ぶりに訪れましたところ、田崎先生との間で議論がはじまっているのを見て驚いています。

    Mackyさんの2度目のご説明で何が論点になっているのかよくわかりました。どうもありがとうございます。

    田崎先生

    はじめまして。
    先生の書かれた教科書はとてもわかりやすく、ワクワクしながら勉強させていただきました。統計力学(2)のほうも順調に読ませていただいております。

     
  • 2009/11/12 22:20:00 JST に投稿, Anonymous たざき さんは書きました...

    とねさん、

    はじめまして。
    そうやって楽しく読んで下さるみなさんがいらっしゃると本を書いてよかったなあと思います。人生の時間はめちゃくちゃ限られているので、どう使うかはいつも悩むところなのですが。

    ちなみに上で「ここは書きにくい」と行ったのは投稿欄が小さくて書きにくいということです。
    昔は web 上に(2ちゃんねるとかじゃなく、まともな)掲示板があって、そこで学問的な議論も楽しくやっていたのですが、あの文化は完全にすたれてしまった。ああいうのを復活できれば、いいのになあと思っています。

     
  • 2009/11/14 3:43:00 JST に投稿, Blogger Macky さんは書きました...

    とねさん

    説明が足りなくて申し訳ないです。あと、著者本人の方が当然内容について比べ物にならないくらい深い理解をされてますので、僕の意見は話半分で^^;


    田崎さん

    >「熱力学の結論を導出する」というのも、どこまでできているかは疑問です。
    うーん、
    熱力学の結論、それは熱力学全体の枠組みに関する事項(熱力学関係式など)も特定の系に関する事項(例えば黒体輻射のエントロピー関数など)も双方を指しますが、それらを導出できるように適切な仮定(例えば前者でいえば等重率の原理などだし後者なら電磁場の Hamiltonian )を模索するのが統計力学
    と言ってもいいかもしれません。

    >ていうか、物理学者ってその程度のものだ思われているのだろうか?
    2chで書き込んだ人がどう思ってるか(そう思ってるのか)は定かではないですが、「物理学者といえど、 Perfume のライブに行ったりする『俗っぽい』ところもあるんだ」というところから、「物理学者だって、感情的好き嫌いで物を言うんだ」というように、(僕らから見れば果てしなく越えがたいように思われる壁を)飛躍しているのかもしれませんねえ(もちろん「物理学者たるもの硬派であるべきで、 Perfume なんかのライブに行って浮かれていてはいかん」なんて言うつもりでは断じてありませんよ^^;)。

    >昔は web 上に(2ちゃんねるとかじゃなく、まともな)掲示板があって、そこで学問的な議論も楽しくやっていたのですが、あの文化は完全にすたれてしまった。ああいうのを復活できれば、いいのになあと思っています。
    やはり時代が変わってしまったのですかね。黒木さんの掲示板(もちろんそこだけには限りませんが)が賑わっていた頃と比べて、明らかにネット人口も増えましたし。

    一応僕自身は2chユーザですので、ある程度擁護しておきますと、黒木さんの掲示板で「匿名」批判が禁止されていたまさにその理由で、恥をかくことを恐れずに気軽に議論することはできる。これは学生にとっては結構大きな利点だったりします(このブログで、即ち「顕名」で書き込みをするとき、特にコメントを返すときなんかは、どうせ学部生なので間違ったことを書いてもそこまで気にする必要はないと思いながらも、それでもやっぱり相当なヒヤヒヤものです)。見当違いなことを書いて罵倒されてもそれはそれで勉強になりますし、それが尾を引くことはない。情報の受け手としては、もちろんそのような場であることは百も承知ですので、内容は話半分でしか読まないですし、質の高い議論は最初から期待していませんが、それでも大量の凡庸なレスの中に面白いと思う意見や、今回のように考えるきっかけとなるレスもありますし。

    一方、それなりに「自分の腕」に自信があれば、質の高い議論をしたいと思うのは当然でありますし、傍観する側から見ても、やはり2chのログより「黒木のなんでも掲示板」の方が読んでいて格段に面白い。それでふと思うのですが、なんか時代が変わりに変わって一周回ってきたというか、SNSなんてものの流行も一段落した今日、SNSのようなシステムはこの類の「顕名」の議論に結構ふさわしいのではないかと思っています。mixiにコミュニティでも作るか、あるいはこういう自然科学に関するトピックの議論に特化したサイトでも立ち上げてみてもいいかもしれませんね(どちらも僕にはできないので人任せですが……)。

    >すぐに会うでしょ?
    お会いした際には実のある議論ができるように、精進しておきます。

     
  • 2009/11/14 11:04:00 JST に投稿, Anonymous とね さんは書きました...

    Mackyさん

    > 説明が足りなくて申し訳ないです。

    いえいえ、とんでもないです。僕のような初心者にとってはこれだけ詳しく説明していただいたことは非常にありがたかったです。僕自身「平衡統計力学の基礎付けと関わるのは1.だけであり、2.は本質的に非平衡の問題です。」というところの問題意識が自分の頭の中に全く育っていませんでした。

    その道の「先輩」から論点を絞って教わるというのは初学者にとってはとても有益なことですね。今回のやり取りを通じてその感を強く持ちました。


    田崎先生

    わざわざご返事いただいてありがとうございます。

    > 人生の時間はめちゃくちゃ限られているので、
    > どう使うかはいつも悩むところなのですが。

    この点については全く同じ気持ちです。
    先生のプロフィールを拝見したところ、僕は先生より3つ年下のようですので平均寿命ということを考えれば折り返し地点を回ったところですし。「物理学史上の巨人たち」がこの限られた人生であれだけの業績を残したことを思うと、あらためてその偉大さを思い知ります。

    寒くなってきたので、風邪やインフルエンザにお気をつけて研究、教育に精進なさってください。

     

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