YMO

Yellow Magic Oracles

2009年11月3日

誤差論

  • 誤差論では(唯一の)「真の値」の存在を仮定する
  • 我々が得たいのは真の値である
  • 計測値は様々な理由により真の値からずれている
  • このずれを誤差(error)という
  • 誤差は系統誤差と偶然誤差に分類される
  • 系統誤差は発覚しにくいが、発覚したら除去は容易である
  • 偶然誤差は正規分布にしたがって発生すると仮定する
  • 系統誤差を除去した後、複数の標本をとることにより、真の値は区間推定に従ってエラーバー付きで推定する
というのが、一般的な誤差論の肝。だから、例えば量子力学に従う物理量を何回も測定して、その平均をプロットして、標準偏差をエラーバーにするという行為にはあまり意味がない。その測定の過程には「唯一の真の値」は存在しないから。

今考えてみれば全く当然のことだけど、自分で計画を立てて数値実験をしてみると全然分かってなくて、確率変数の標準偏差をエラーバーにして「あれ、エラーバーえらいでかいな」とか悩んでいた。まあこういう試行錯誤を通してみんな分かっていくんだろうけど。

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2009年11月2日

水は答えを知っている

伊藤園の水素水の記事のAdsenseが大変なことになってます。

  • 電解水素水
  • 波動水
  • 水素豊富水
  • 還元水
  • 飲料水

誰かこの電波飛び交う状況から助けてください。自分がネタにするからそんな広告集まってくるんだろって話だけど。それにしても波動水ってなんだよ波動水って。

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2009年11月1日

小学生

この記事に、「日本人は韓国人と違って韓国(朝鮮半島)に興味ないよ!」という趣旨のコメントが大量についている。本当に興味がないのであればわざわざコメントなど残さないわけで(これが韓国人ではなくトルクメニスタン人であったと仮に考えてみればよい)、しっかり日本人(というかネトウヨ?)が韓国に興味津々である様子が表れている。

好きな子が気になって気になって仕方ないあまり、ついつい悪戯をしてしまう小学生のようで、見ていて微笑ましい。

どうでもよいが、昨日友人と食ったキムチ鍋は非常に旨かった。

酸化還元電位

再びAdSenseの広告(もちろん広告はエネルギーの項目から)。今度はメジャー企業、伊藤園。

鹿鳴越山系の伏流水使用。弱アルカリ 性の軟水が体にやさしく浸透します
www.kenkotai.jp
おいおいおい。ページを開いてみたら酸化還元電位がマイナスとか書いてあって、そりゃ確かに基準をpH 7の水に設定すればそうなるでしょうが、あんまり書いてる人が酸化還元電位を分かってるとは思えない。まあ、水素は優秀な還元剤だけどね。

まあ、トンデモと言い切っちゃうのはちょっとはばかられるけど、だからって効能があると宣言するにはまだまだ早い代物だと思う。

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2009年10月31日

差別化

民主党は「国民の生活が第一」と唱えている(本当に実践できているかは別として)。製造業派遣の禁止にはっきり現れるように、多少の経済成長は犠牲にしても国民1人1人が多少は豊かに生活できるようになるという方向だろう。一方、自民党は従来通りの均霑論というか、(多少痛みを伴っても)経済成長をすることでやがては国民全体が豊かになるという、(少なくとも短期的には)「持てる階層」にとって好ましい政策をとるよう、民主党と差別化を図っている印象を代表質問から受けた。

(個人的にどちらを支持するかは別として)これは日本の政治にとって非常によい傾向だと思う。今までは自民党内の政権交代で、この2つの間を適当に行き来してきたわけだが、国政選挙の結果が直接反映されない以上、必ずしもそれは民意を反映しているとは言い難かった。一方、今回の総選挙も無論そうだが、その前の郵政選挙も、民意を受けてこのうちどちらかの政策が支持されたと考えることができる。そして、その政策が「やり過ぎ」だと思われれば、次回の選挙で政権交代が起こるだろう。

外交・安保に関してもうだが、これと並んで経済財政政策は非常に大きな論点である。このような論点に、(それほど大きくは違わないが)方向性の異なる2つの選択肢が国民に提示され、それを選挙によって選択するというのは、今までより格段に成熟した民主主義のあり方だと思う。

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2009年10月30日

Enjoy programming

Enjoy Programmingとかいう割には、Rubyは細かいところで手が届かない。特に、イテレータは大好きで、よく使っているんだけど(C++にもさっさとLambda入らないかなあ……0xは10進法じゃなさそうだし)、ちょっとやはり物足りない。each_with_indexが入ったのも1.9でようやくだし、てかmap!とかにも実装してほしいんですけど。この類のメソッドはeach_with_indexの挙動をデフォルトにして、|item,i|のiをオプションにすればいいのに。

あと、


std::transform(
 InputIteratorBegin,
 InputIteratorEnd,
 OutputIteratorBegin,
 UnaryFunctor
);

OutputArray = InputArray.map { |x| Sentence }
とか書けるけど、

std::transform(
 InputIterator1Begin,
 InputIterator1End,
 InputIterator2Begin,
 OutputIteratorBegin,
 BinaryFunctor
);
はどうすんの? 全般的にもうちょっとこの辺関数型プログラミング的にならないかなあ。

全然話は変わるが、AWKは使えるときには超便利。しかし、たまにしか使わないから書く度に文法忘れてるので、毎回文法調べて書いてる。そしてそんなAWKをRubyから(別にperlでもPHPでもいいけど)簡単に呼び出せる``演算子はもっと超便利。

ちなみに、研究室のサーバに自動認証かけられなかったのは自分の手違いでした。

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2009年10月28日

アグネスタキオン

Adsenseの広告は自分でも面白いと思ったのをクリックすることがある(必要以上に多数回クリックするのはダメでも、自分で「超伝導入門」買いたいと思ってクリックすることは別に規約違反じゃないよね)。右のところにエネルギーという項目があるので開いてみる。すると、

タキオンエネルギーを 利用するための製品販売
www2u.biglobe.ne.jp/~ocean/
ん?

好奇心に負けてクリックしてしまう。

量子物理学によると、この物質的な宇宙はエネルギーの非常に凝縮された形状(フォーム)以外の何者でもないと 理解されています。 この宇宙の中に存在する全てのもの(最も微妙で、活性化した組織帯の純化した領域から、全体、物資の最も凝縮された領域まで)は、全てエネルギーの連続体の中で一列に並んでいます。
エネルギー連続体を通って流れているエネルギーは、1つの源泉から来ます。インドでは、それは神母と呼ばれます。キリスト教はそれを聖霊と呼び、多くの現代的な、ニューエイジの教えにおいて、それは宇宙エネルギーと呼ばれます。現代の物理学はそれをゼロポイントエネルギーまたは自由エネルギーと呼びます。
(出典:「タキオンとは何ですか?」http://www2u.biglobe.ne.jp/~ocean/tachyon/productnote/whattachyon.htm)
えええええ!!! それどこの物理学だよ! 一応物理学では零点エネルギー(Zero-point energy)や自由エネルギーというタームがあって、ちゃんとした定義が与えられてるけど、そもそもこの2つは全然違う意味だし、ましてや「エネルギー連続体を通って流れているエネルギー」の源泉とか、何がなんだか。

まあこのサイト読んでる人はこんなのに騙されるわけないけど、こういう商売が罷り通る世の中ってどうなのよ。タキオンは馬だけで結構。

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2009年10月25日

等重率の原理とエルゴード仮説

田崎さんの『統計力学』について、こんなレスを見つける。

田崎さんは 「系がマクロになると、許される状態のほとんど全てがほとんど区別できない」 を公理にして「マクロな系が平衡状態に緩和する」を導出してたが、 そこで暗に等重率の原理のようなものを使っている気がするんだけど・・

「あれ、田崎さんの本に緩和なんてブッ飛んだこと書いてあったっけ?」と思って久しぶりにIの方を開いてみる……確かに書いてあるな。

考えてみても、この指摘の本質は全く正しいように思う。筆者は平衡状態について

平衡状態についての基本的な仮定:ある系での(熱力学でいうところの)平衡状態の様々な性質は,対応する「許される量子状態」の中の「典型的な状態」が共通にもっている性質に他ならない。
(田崎晴明『統計力学I』培風館 初版p85)
と特徴づけているが、これに基づき非平衡からの緩和を
次に平衡状態への緩和の問題を考えよう。(中略)こういった非平衡状態も,エネルギーがほぼUである限りは,やはり「許される量子状態」の中に含まれている(脚注:このような非平衡状態に対応するのは,ほとんどの場合,エネルギー固有状態ではなく,複数のエネルギー固有状態の重ね合わせになると考えられる)。しかし,これは典型的な状態ではあり得ないから,ごく少数の例外的な状態の一つである。(中略)そこから出発して,系が時間発展したとき,特別な事情がないかぎりは,系の状態はごくごく小さな例外的な領域から外に出て,典型的な領域に入っていくと期待される(脚注:例外的な状態を作るには,複数のエネルギー固有状態を絶妙の係数をかけて足し合わせる必要があると考えられる。系がシュレディンガー方程式に従って時間発展すると,各々のエネルギー固有状態の位相が変化し,絶妙の重ね合わせは失われていくはずだ。)。
(引用元同上pp86-87、強調はこのサイトの筆者)
と議論している。「期待される」「はずだ」ってのは、あくまで仮定だ。もちろん、実験事実と照合することで正当化されている仮定ではあるけど、著者がこの前に置いている唯一の統計力学的仮定(もう一つ仮定があるが、それは前述の「平衡状態についての基本的な仮定」であくまで平衡系に限った話)
マクロな系の基本的性質:マクロな量子系では,ある平衡状態に対応する「許される量子状態」のほとんど全てが(マクロな物理量の測定値で比較されるかぎり)ほとんど区別できない。
(引用元同上p85)
から導かれるものでは、全くないように思える。

この「マクロな系の基本的性質」は、これを認めることで等重率の原理がエルゴード仮説を仮定することなく自然に導入され、それに立脚して統計力学の議論を進めることができたという点で、(著者はこの様な論理展開は明文化されているにせよいないにせよ真新しいことではないとしているが、少なくともはっきり第一原理として明文化したことについては)この書籍の極めて非凡なところだと思う。しかし、これによって説明されるのは、理論の中に「時間」という変数が全く入ってこない平衡統計力学だけであって、それを平衡統計力学の範疇外である緩和の説明にも使おうとしたのは、ちょっと勇み足ではなかろうか。

「例外的な量子状態」から出発して時間発展したときに、未来永劫「例外」に留まりつづけるかもしれないし(「許される量子状態」全体の空間から「例外的な量子状態」全体の部分空間を抜き出したとき、その部分空間は時間発展に対して不変かもしれない!)、そこまでしなくても、「典型的な量子状態」から出発した時より極めて高頻度に「例外的な量子状態」を訪れ続けるかもしれない。こういう事態を防ぐためには、新たな仮定

「任意の(あるいは、「例外的な量子状態」の中のさらに例外を除いたほとんどの)初期条件を選んで系を時間発展させることで得られる状態のほとんどは『典型的』である。」
を加えないといけない。清水さんの方の草稿には、「強いエルゴード仮説」として、これに似た(もっと強い)仮定が紹介されている(一般的なエルゴード仮説とは異なり、対象を巨視的変数に限定しているが)。しかし、清水さんもその草稿で言及しているが、これじゃあ「非平衡状態は平衡状態に緩和する」という仮説を、大して変わらない別の仮説を使って言い換えただけに見えてきてしまって、ほとんど旨味はない。

こういうことに関してなかなか深く考える機会はないが、平衡統計力学の基礎付けすら難しいのであるから、況んや本質的に非平衡である緩和過程をやと思った。そして、田崎さんの本はそれでもやっぱりいい本だなあと思った(熱力学の方はHelmholtzエネルギーから入るところがエントロピーから入る佐々さん・清水さんと比べてあんまり好きではないんだけど……でもあっちも網羅的だし、いい本)。

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Log

このサイトのログを見るのが楽しい。アクセス解析された結果を見るのもいいが、やっぱり一番面白いのは生ログ。こんなこと書いてるとストーカーじみてるように思われるかもしれないけど。

おそらく知人と思しきログや、熱力学・統計力学の記事に関して検索してきたログ(うちを含んだ大学からのアクセスが多い)が多い。中には教科書とか書いている偉い先生かもしれないログも(でも、他のページ見ずにすぐ帰ってるから別人かもしれない)。

OSはやっぱりWindowsが多いけど、Macもそこそこいる。Linux使ってるのは自分くらいかと思ってたら、どうやら他にもLinuxの閲覧があった。ブラウザはWindowsはIEが多い(あんなブラウザ、よく使う気になれるなと思うけど)が、2番手はChrome、意外。その後にFirefox。なんと懐かしきネスケのログもあった。MacユーザはSaafriとFirefoxが大体同数。

ちなみに、Adsenseのクリック数は0。まあ、別に期待なんか最初からしていないが、それにしてももう少し物理関係の広告だしてほしいな。

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2009年10月19日

確率微分方程式

化学反応のモデルとして次の師匠との面会までにLangevin方程式を解くことになっている。そんなの余裕だろと思っていたら、先日の面会では「罠があるよ」と言われた。いざコードを書こうと思ったら、4次のRunge-Kuttaではランダム力を単純に外力として入れるわけにいかないことくらいはすぐ気付く。

4次のRunge-Kuttaは関数を4回使うからランダム力をどうやって入れたらいいのか分からないのであって、単純なEuler法なら行ける気がするけどなあ……と思いながら、でも確率微分方程式の数値解法は今後も頻繁にお世話になると思われるので、Runge-Kuttaの単純な拡張があるのかとりあえずGoogleで検索かけてみる。そうすると、どうも既に「終わった」話題ではなさそうで、不安定性とかそういうキーワードがすぐに目につく。そりゃそうか、Fokker-Planckが不安定性生じる可能性あるなら、当然Langevinでも不安定性が生じていいよな。

普通の常微分方程式なんてのは、4次のRunge-Kuttaなる万能解法があるわけで、保存量を離散化させても保存させたいからシンプレクティック解法使うとか、まあそういう特殊な事情がなければこれ以外を使う必要はない。一方、偏微分方程式はちょっと気を抜くとすぐに解が発散するから、方程式に応じて適切な解法を考える必要がある。Fokker-Planckも、そのものを解いたことはないが、過去に反応拡散解いたときはえらい苦労させられた。確率微分方程式は、形の上では常微分方程式なので前者のクラスに属するかと思ったら、偏微分方程式同様、方程式ごとに解法考えないといかんという理解でいいのかなあ。まあ、LangevinとFokker-Planckは等価だから、多分そうなんだろうなあ。

でもとりあえず、まずは深いことを考えずに(とりあえず誤差評価だけは予めしておくけど)Euler法を回してみよう。対応するFokker-Planckも回して、結果を比較した法がいいかもしれない。

今まで特に何も考えず、Fokker-Planckと例のドリフトのある拡散方程式のことを言っていたけど、このPlanckって、かのMax Planckのことか。今日まで気付かなかった。やっぱり物理学会の大巨人だなあ。化学反応の話を師匠としたとき、師匠は物理の観点からArrheniusを導出したのはKramersと言っていたが、彼もKramers-KronigとかWentzel-Kramers-Brillouinとか、大はつかないまでも巨人。BrillouinもWKBだけじゃなくBrillouinゾーンとかに名を残している。とか、こんなことを考えていると、自分もすっかり物理オタクになったもんだなあと感慨深い。太田先生には足元にも及ばないが。

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